研究課題/領域番号 |
20591425
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
森田 喜一郎 久留米大学, 高次脳疾患研究所, 教授 (20140642)
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研究分担者 |
小路 純央 久留米大学, 医学部, 講師 (50343695)
森 圭一郎 久留米大学, 医学部, 助教 (20399182)
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キーワード | 認知機能 / 高次脳機能 / 事象関連電位 / 光トポグラフィ / 探索眼球運動 / 情動 / 統合失調症 / 統合失調症周辺障害 |
研究概要 |
認知機能解析の基礎である事象関連電位のP300成分の解析、視覚認知機能で確立されつつある探索眼球運動の解析および脳血流動態が簡易に解析可能な光トポグラフィ(NIRS)を同時に計測可能なシステムを構築し統合失調症者を初めとする高次脳障害者の判別診断および治療方針の参考となる精神生理学的指標を提供することを目的とした。「研究実施計画」にもとづいて、第一段階として、NIRSと脳波、または眼球運動との2機種同時測定システムを構築した。研究遂行において、総ての被験者には、当研究を書面にて説明し同意を得たのち計測した。尚、当研究は、久留米大学倫理委員会の承認を得ている。 H20~21年度では、統合失調症者および健常者においてオドボール課題中の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)変動と事象関連電位を同時計測した。結果は、統合失調症群では、左前頭葉部においてoxy-Hb変動およびP300振幅は、「泣き」提示時および「笑い」提示時で健常群より減少した。また、アイマークレコーダを用いた探索眼球運動とoxy-Hbの変動を同時に計測した。統合失調症群は、健常群に比べて眼球運動の総移動距離は短く、健常群とは逆(ミスマッチ)の表情間差(笑い<泣き)が認められた。統合失調症群は、左前頭葉部において、健常群に比べて有意なoxy-Hbの増加が認められた。以上から、NIRSと脳波または探索眼球運動との同時計測は、統合失調症およびその周辺障害における情動関連の病態を探る精神生理学的指標として有用であると考えられる。 H21~22年度では各サンプル数を増すとともに、統合失調症周辺者、感情障害者、外傷後高次脳機能障害者等において同様の研究を遂行し、科研費にて購入した刺激装置を改造しNIRSと脳波と探索眼球運動の同時測定システムの試みを健常者において試みた。研究成果は、国内外の学会において発表し、現在論文を執筆中である。現在、3機種を用いた高次脳機能解析システムの構築を持続している。
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