2010年7月17日から本人の臓器提供に関する生前意思が存在しなくても、家族の承諾があれば脳死下臓器提供が可能となった。それに伴い15歳未満の小児からの脳死下臓器提供も可能となり、脳死下臓器提供数が増加している。しかし一方で、日本臓器移植ネットワーク資料によると2008年12月の時点で(法的脳死判定後の臓器提供例が76例)、脳死状態にもかかわらず眼球や鼓膜損傷のために脳死判定基準を満たさず、脳死判定ができなかった例が57例存在する。海外においてはそのような場合、脳死判定基準を補完する意味で脳血流や誘発電位検査が施行されている。今回の我々の研究で現在の診断基準で脳死判定ができない症例であっても、ABRやSSEPを用いることで脳死判定を可能であることが示され、臓器提供に関する本人や家族意思をより反映するためにも今後検討されるべき方法と考えられた。
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