研究課題/領域番号 |
20592542
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
柊中 智恵子 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (60274726)
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研究分担者 |
小野 ミツ 九州大学, 大学院・医学系学府保健学専攻, 教授 (60315182)
中込 さと子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (10254484)
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キーワード | 神経難病 / 遺伝 / 患者・家族 / 看護職 / 教育プログラム |
研究概要 |
当該年度は、(1)家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)患者,家族の現状及び課題の具体化・明確化(2)看講職の課題の明確化(3)それらをもとに、遺伝看護の教育プログラムを作成することを目的として研究を行なった。 患者10名・家族14名に対して調査を継続し、当該年度は、のべ53回のフォローアッブインタビューを行った.その結果、FAP家系に生きるものの軌跡として、以下のことが明確になった。家系員は、子ども時代に若い親の闘病と死を体験しており、遺伝性であることがわからなかったり、家系内で遺伝が語られなかったことで、家系員が次々に発症する恐怖を感じていた。未発症のものに、自分がat riskだと知ることで衝撃を受け、将来の治療に備えて発症前遺伝子診断を受検し発症を覚悟して生きる決意をしていた。発症者は、肝臓移植を受けるかどうか葛藤しながらも移植を決断し、移植後様々な社会資源を使って闘病生活を乗り越えていた。配偶者は、夫や妻を亡くした悲嘆に浸る間もなく、学童期の子どもを片親で育てる苦労や子どもの発症の不安を絶えず抱えながら日々過ごしていた.親、きょうだい、子ども、そして婚家の人々といった家族の最小単位の中で、遺伝性であることが大きな課題となっている現状が追究できた。しかしその一方で、課題を家族で乗り超える強さも見出された。 一方、看講職は、遺伝学の基礎的知識の不足、遺伝的課題を抱えた患者・家族への関わり方や支援仕方、子どもへ遺伝情報の伝え方、遺伝子検査に関する情報不足、遺伝子診療部門との連携方法などが課題として挙げられた。 以上の結果をもとに、遺伝性神経難病に携わる看護職への遺伝看護教育プログラムには、わかり易い遺伝学の基礎知識、遺伝を主軸に置いた家族アセスメントを含む家族支援、遺伝子検査の課題、遺伝子診療部門の紹介を盛り込むことが必須であり、1週間ごとに4~6回実施できるプログラムを作成した。
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