研究概要 |
1. 研究の概要:本研究は、標準的な二次医療圏の回復期病院に焦点をあて、回復期の入院における生活の場までの療養行程と生活の場へ復帰するためのケア方法を明確にすることを目的とした。対象病院の圏域は1市3町村、人口8万、病院は回復期リハビリテーション病棟を有する150床の一般病院である。本年度は、平成20年度に調査した平成19年度の遡及的データの分析を中心に行った。 2. 結果の概略 1) 転入患者の特性:女性57.0%、男性43.0%、平均年齢は、入院時76.5SD11.1歳、主疾患は脳血管疾患47.1%、家族構成数は独居16.6%、配偶者と2人21.5%、退院時医療処置を有する者は13.2%、居住地が対象医療圏内者は84.5%であった。平均在院日数は紹介元では30.1(SD26.6)日、対象病院では81.4(SD54.1)日であった。 2) 入院の状況:ADLについて、入院時と退院時の変化を→で示す。A26.0%→16.2%,B1 15.5%→33.2%,B2 48.7%→29.1%、C1 5.7%→4.9%、C2 23.8%→13.6%、認知度は、入院時と退院前の最終チェックはほとんど変化がなかった。介護保険は申請なしが入院時64.2%、退院時22.6%であった。入院中、リハビリチームによる家屋調査を実施した者は17.0%、院内のデイケアに参加した者は23.4%、退院経過用紙への平均記載回数は5.6(SD5.8)回であった。 3) 退院後の移行先:自宅60.0%、病院15.5%、有床診療所0.4%、介護老人保健施設18.9%、介護老人福祉施設3.0%、グループホーム1.1%、その他1.1%であった。退院後、自宅以外の施設へ移行した者のうち、施設医療圏が、居住地の医療圏内であった者は77.4%であった。 3. 考察:転入患者の特性は、典型的な要介護の高齢者像であった。退院時、ADLは改善、認知症はほとんど変化がなかった。入院後に約4割が介護保険の申請を行っていた。ADL改善へのケア、認知症へのケア、介護保険活用への支援、退院経過の情報共有が生活の場への復帰を支えていると考えられた。
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