日本は地震の活動期に入り、大地震の発生が予測されている。本研究は、一人でも多くの命と少しでも多くの生活を守ることを目標に、学校教育において自助力と共助力を育む減災教育カリキュラムの開発を目的としている。 2009年度は、以下の課題に取り組んだ。 課題1.2008年度に構築した減災教育の理論に基づき、危機に遭遇した時に必要とされる能力として挙げられる「科学的理解」、「正確な技術」、「他者の痛みへの共感」、「リスクの予測とリスクを回避する判断力」、「コミュニケーション・地域活動」の向上をめざす減災教育プログラムの提案を試みた。小学校におけるプログラム案は2008年度に作成したため、2009年度は中学校を中心にプログラム案を作成し、小学校、中学校あわせて、児童・生徒の発達段階に応じたものとした。提案したプログラムは、平成20年3月告示の学習指導要領すべての内容の中に分散している減災の要素を拾い集め、それらをつなぎ、教科を主軸に減災を学習体系に組み込んだ。そのため「総合的な学習の時間」を活用した減災教育とは異なり、減災に熱心な教員が学校にいなくても、通常の教科の中で、どの教師もが無理なく実践できるようにした。 課題2.滋賀県内で琵琶湖西岸断層帯上に位置する地域と、断層帯上から外れる地域において、小・中学校管理職130名と管理職以外の教職員940名を対象として、学校の減災と減災教育に関する調査を実施した。2010年度も引き続き分析・考察を進め、この調査を踏まえて、提案した減災教育プログラムの問い直しを行う。得られた減災教育プログラム案は、滋賀県教職員に還元する。
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