一つの球を対象として電波吸収球状複合材料を設計する方法を検討する。平成20年度は計算機シミュレーションの手法を確立することに重きを置いて研究を行った。得られた成果は下記の通りである。 (1)電波吸収球状複合材料の設計手法及びコーティング層に関する検討球状多層構造を基本構造として用いて、マクスウエルの方程式に基づく電波吸収特性のシミュレーションを行った。材料系としては、Al12O3、ZrO2をコアの球としたものを想定し、表面に設けた層の誘電特性をパラメータとした。シミュレーションではコア球の大きさ、コーティング層の厚さと電波の相互作用を調べた。今回の研究では、多層コーティングに用いる誘電材料には、Al2O3、ZrO2、SiO2の粉末とエポキシの複合材料を用いることを想定した。このシミュレーションを通して、電磁波(電波)と球状複合材料との相互作用を明らかにすることができた。電波吸収材料としての特性評価に関しては、シミュレーションの結果の利用方法を含めて検討中である。 (3)電波との相互作用測定のため装置の試作と基本特性測定電波吸収球状複合材料電波との相互作用を調べるための実験的手法について検討した。基本的な測定方法として、球状の電波吸収球状複合材料を定誘電率のテフロンワイヤあるいはテフロンの支持台で保持したものに60〜75GHzの電波を照射し、表面の温度変化を調べることが可能かを調べた。引き続き、試験方法については装置の構成も含めて継続的に検討している。
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