本年度の研究実施計画に掲げた5つの課題それぞれに関して以下のような研究および実践を行った。 (課題1)協働的学習に関する基礎研究として、哲学対話における反省的・批判的思考の学習プロセスを活動理論の観点から考察をすすめ、「こどものための哲学(Philosophy for Chndren : P4C)」国際学会(メキシコ)にてこれまでの日本での取り組みを例示しながら研究成果を発表し、1第一線に立つ研究者実践者からの示唆や評価を受けた。 (課題2)専門横断型対話教育に関する研究として、大阪大学コミュニケーションデザイン・センターの開講する専門横断型教育プログラムに参画し、プログラムを共同で実施する各分野の研究者とともに、言語・身体的コミュニケーション実践能力をともなった新しい教養力の養成に向けたプログラム検討を行った。 (課題3)哲学研究者弱対話進行能力に関する実践的研究として、大学生と大学院生に対して対話進行役養成プログラムを実施し、その検証とプログラム改善を図った。 (課題4)対話学習プログラムの作成に関しては、小学校(池田市、西宮市)、中学校(世田谷区)、高校(京都市、神戸市)における哲学対話教育プログラムを実施または視察し、各学校の担当教員ほかとともにプログラム改善のための協議を行った。 (課題5)海外における学習カリキュラム、プログラム調査の一環として、メキシコにおけるP4Cカリキュラム実施体制を調査し、非西洋圏、とりわけ異なる文化背景が交わるなかでの哲学対話教育の状況について調査を行い、今後の調査研究の準備を進めた。
|