研究概要 |
本研究は、カメラにより撮影された物体の姿勢推定の手法の開発を目的としている。本年度の研究成果は次のとおりである。 ・学習に基づく姿勢推定のためには,膨大な枚数の画像を学習する必要がある.これは計算コストを増大させるため,学習画像枚数を削減する必要がある。そのために、物体認識に用いられている局所特徴量を導入し、姿勢推定に応用した。そこで,姿勢表現に識別機能を加えることにより,物体認識と姿勢推定を同時に行う手法を考案した.ある一つの物体に対し、同じ物体の特徴量であれば姿勢パラメータpと,違う物体の特徴量であれば0となる姿勢表現を定義する.そして,その姿勢表現(0かp)と特徴量を線形回帰により関連付ける.これにより,姿勢推定と物体認識を同時に行うことができる.ここで,特徴量として物体認識に用いられている局所特徴量のBag-of-Visual wordsを利用し,計算コストを削減し,かつ推定精度と認識率を向上させることが可能となった. ・膨大な学習画像を扱う手法を実用的な計算時間で行うために、次数の大きい行列の固有ベクトルの計算手法を導入する必要がある。このために,画像間の関係を行列で表現する線形的画像処理を導入し,まず画像認識に適用した.この大規模行列の固有ベクトルを計算するための手法を,姿勢推定のための学習に導入することによって,今後大規模な学習画像に対処することが期待できる. ・3次元物体同士を比較することによる姿勢推定の既存の手法は,精度と計算時間のトレードオフがあり,これを解消する必要がある。そのために,姿勢推定のために特化したCPUを用いた高速化手法を考案し,従来実時間で高精度に姿勢推定が困難であった手法を拡張した.これにより,CPUによる既存の姿勢推定手法の計算時間を大幅に削減することが期待できる.
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