研究課題
指数型分布族に属する分布の中にTweedie分布と呼ばれる分布がある。申請者は、Tweedie分布をベースにした一般化線形モデル(以下、Tweedie一般化線形モデルと呼ぶ)が共役解析可能であることを証明した。このような理論的にきれいな例は応用上も非常に有用である。実際、このモデルは降水量データなどゼロを多く含むデータの解析に適している。サンシャインコースト大学(オーストラリア)のPeter Dunn准教授はTweedie分布に関する優れた数値評価プログラムを開発している。この数値評価プログラムと申請者の理論研究を融合して、クイーンズランド州の降水量データを解析している。クイーンズランド州は近年史上最悪レベルのかんばつに見舞われているため、この応用研究は気候変動の要因を探るという意味で非常に重要である。また、Tweedie一般化線形モデルと尤度を共有する位置母数分布族についても研究を進めた。申請者は、この位置母数分布族をベースにした線形モデルも共役解析可能であることを示した。Tweedie分布は原点にmassをもち、正の領域では連続型であり、負の領域には密度を持たない。一方、上記の位置母数分布族は実軸上の連続分布である。このように一見大きく異なる2つの分布であるが、尤度関数を共有するという非常に面白い性質を持っている。今年度発表したBayes予測問題に関する論文が、位置母数分布族を通して上記の研究とつながっているらしいことが分かってきた。来年度はこの点に注目して研究を進めていきたい。
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Journal of the Japan Statistical Society 39
ページ: 111-131
http://www.terrapub.co.jp/journals/jjss/pdf/3901/39010111.pdf
Journal of Statistical Planning and Inference 139
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