研究概要 |
研究目的であるペン操作の特性を数値データとして取得するためにペンの軸にかかる指の圧を計測する環境設定に時間を費やした. これまでペンの軸にかかる圧を計測した研究は少ない. 計測をした研究であっても圧センサとペンを加工し計測しているが本研究では曲面でも圧の計測が可能なセンサを使用した. これによりペンの加工が少なく, 通常のペンを使用するのと近い環境で計測可能となった. これは, 環境要因や道具の変更などにより動作能力に影響を受け易いCVA患者のデータを取る上では意義が大きいと考える. 研究計画にある筆圧・なぞり書きの軌跡, 筆速を測定するためのソフト開発および修正を繰り返した. なぞり書きの課題は, CVA患者の障害の特性を考慮し, 図形にて実施することとした.図形は比較的記載が容易であるカタカナの要素を網羅できる図形8個を考え, ソフト上に組み込んだ. ペンの軸にかかる圧と, 筆圧・軌跡・筆速は別々のセンサで計測するため, それぞれのデータを同期して記録可能な環境を整えた. これにより対象者のなぞり書き時の, 筆圧・握り圧との関係性を確認・比較できる.このように同期した研究はこれまでになく, 今回の研究及びソフト開発は意義が大きいと考えられる. 計測機器の環境が整った時点で, パイロットスタディを実施した. パイロットスタディの結果から, さらに環境を整え研究計画対象者にも実施できるように改善した. 環境が十分に整った時点で, 研究計画に示す3群のデータ計測を開始した. 現在健常者群20名, 整形疾患群20名, CVA患者7名のデータを取得している.
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