調理経験が異なる人が、同じ手順、同じ作業で調理した場合、出来上がりのおいしさに差が生じることが多い。これは調理経験に基づく何かしらの技術が要因となり、料理に影響を及ぼすと考えられる。そこで本論文では、出来上がりに影響する調理技術の要因の1つとして調理時の目配りに着目して、調理技術と目配りの関連を明らかにし、目配りを技術向上の新たな指標として検討することを目的とした。 本研究では、基本的な調理法である「炒める(きんぴらごぼう)」について、調理経験の異なる者が同じ手順で調理を行った。調理時の目配りを第三者が観察するとともに、画像処理による視点の移動量を計測して、熟練者と非熟練者とで比較した。また品質評価を行い、熟練者および非熟練者の出来上がりと比較した。その結果、熟練者はいずれの出来上がりにおいても品質評価が高く、非熟練者のごぼうでは有意に違いがみられた。目配りでも同様に、第三者は熟練者の方が調理に重要な目配りをしていることを確認し、画像処理による視点の移動距離が長いことから、調理技術評価の新たな手段として目配りが有効であることを明らかにした。
|