本年度は前年度の調査成果を踏まえ、主に近世の偽法令や、寺社奉行関係史料・本山寺院関係史料を中心とした史料にっき、神奈川県公文書館、藤沢市文書館、埼玉県立文書館、群馬県立文書館、富山県公文書館、富山県立図書館、高岡市立中央図書館、金沢市立玉川図書館、福井県立図書館、福井県文書館、国文学研究資料館、静岡県立中央図書館、徳島県立文書館、尼崎市立地域研究史料館、山梨県立博物館、東京大学法学部法制史資料室、東京大学総合図書館、京都府立総合資料館、横須賀市史編さん室、京都西山短期大学図書館、叡山文庫、京都市歴史資料館等において博捜した。それらの成果を含め、近世における寺院関係偽法令の博捜、文献学的検討、流布課程に関する検討を行い、「近世における寺院関係偽法令の流布をめぐって」(東京大学日本史学研究室紀要別冊『近世政治史論叢』所収)として成稿した。また一家一寺制法令の発令をめぐる諸動向を素材として、日本仏教綜合研究学会第8回大会において研究報告「寺檀制度に関する通念の形成」を行い、通念の形成・変容と、情報流通や法令・判例との関係につき、具体的に考察を深めた。 さらに前年度に引き続き、小城下町の展開と、宗教的要素との関係に関する分析を深化させ、「与板」(伊藤毅・吉田伸之編『伝統都市2 イデア』所収)として発表予定である。
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