研究課題
本研究は、平成20年度から平成22年度までの3ヵ年にわたる研究期間を想定している。平成22年度は、その最終年度にあたり、主として研究成果全体のとりまとめと今後新たに取り組むべき課題の特定を試みた。実施した研究内容は、以下の通りである。第1に、昨年度、博士論文として上梓した研究成果の精査を行った。博士論文では、本研究の具体的な対象である外資系の経営コンサルティング・ファームのグローバル戦略に関し、理論的及び実証的考察を展開した。その中で、幾つかの課題が明らかとなっていた。課題の一つである知識集約型ビジネスのグローバル化の理論的骨子となる経営知識のグローバル化の現象については、加筆修正を行い、著書として刊行した。同様に、本研究における分析フレームワークの考察で構成概念の規定に関して不十分な点があったため、その精緻化に努めた。第2に、共同研究及びアクションリサーチによる新たな課題の特定である。本研究において、主要なケーススタディとして、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社をとりあげているが、このケースを更に深掘りするため、笠原民子氏(四国大学)と共同研究を行った(学会報告及びディスカッションペーパーの執筆)。加えて、知識集約型ビジネスのビジネスモデル、ビジネスモデルのイノベーションに関して、より実践的な状況での検討が必要であると判断したため、探索的ではあるがアクションリサーチに着手した。対象は、筆者の勤務地に近い、神戸市内のメディア関係のコンサルティング・ファームである。同社の協力を得て、ビジネスモデルの再構築に関する会議等ヘオブザーバーとして参加することができた。その成果については、平成23年度において公表する予定である。以上の考察により、本研究の目的である知識集約型ビジネスのグローバル経営の理論化に関して、学術・実践の両両側面において、大きな成果をあげることができた。
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Discussion Paper No.32, Institute for Policy Analysis and Social Innovation, University of Hyogo
巻: No.32 ページ: 1-18