本研究課題では、主にガーデンパス文を一例として取り上げて、文処理の時間特性について検討した。先行研究からガーデンパス文を長く提示すると文理解精度が低下することが明らかになっているが、この原因について検討したところ、文の統語構造の再解析処理が関与している可能性が高いことが示された。また、文処理の時間コストについて検討したところ、ガーデンパス文の処理速度の指標は、非ガーデンパス文のおよそ1/3程度であることが明らかになった。本研究で明らかになった文処理の時間特性を統一的に説明するために、処理と減衰という2つの時間関数を仮定し、それぞれの増加や減衰の傾きが文構造や熟練度によって変化するというモデルを提案した。
|