1、研究実施計画に記述した「p進局所体上の双曲的曲線の上の最大馴分岐拡大体に値を持つ有理点のなすある点列の収束性」及び「p進局所体上の双曲的曲線の基本群からそのp進局所体の絶対Galois群への自然な全射の切断のHodge-Tate性」という2つの研究課題は「p進局所体上の双曲的曲線に対する副p切断予想の解決」に対するアプローチであったのだが、今年度行われた研究によって、そもそもの「p進局所体上の双曲的曲線に対する副p切断予想」が一般には成立しないことが明らかになった(論文投稿中)。この結果について、パリ南大学で行われたセミナー、及び、ハイデルベルグ大学で行われた研究集会で研究発表を行った。 2、研究課題「双曲的曲線の数論的基本群の研究」という観点から、90年代後半に行われた玉川安騎男氏、松本眞氏による双曲的曲線に付随する外Galois表現の像の大きさに関する研究、また、望月新一氏による遠アーベル予想に関する研究を詳細に確認したところ、付随する外Galois表現の像が非常に大きい場合には、その双曲的曲線が「特殊な自己同型を持たない」や「付随するJacobi多様体は単純である」などといった強い剛性を持ち、また、特に種数が0の場合には、従来の遠アーベル予想よりも強い形の遠アーベル幾何学的事実が成立することがわかった(論文投稿中)。この結果について、ボルドー第1大学、及び、熊本大学で行われた研究集会で研究発表を行った。
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