| 研究概要 |
本研究の目的は,調和写像分散流(シュレディンガー写像)の初期値問題の,エネルギー空間における適切性を考察することである.特に,2次元単位球面に値を取る調和写像分散流は,強磁性体のスピンを記述するハイゼンベルクモデルとして知られるものであり,その解析は物理的にも興味深い問題であると思われる.
具体的には,空間次元が2次元及び3次元の場合に,調和写像分散流の初期値問題の小さな初期値に対する時間大域適切性を,初期値が滑らかさに関して臨界的なソボレフ空間に属する場合を目標として考察する.
本研究の三年目にあたる本年度においては,昨年度に引き続き初期値の滑らかさの条件を緩めて時間大域解の存在を考察し,そのための基礎となる,球面方向の滑らかさを考慮に入れたシュレディンガー方程式に対するストリッカーツ型評価について整備し,論文として纏めた.
また,この評価の調和写像分散流の方程式への応用に関して,エネルギー評価を考察する際に必要となる球面上のラプラス・ベルトラミ作用素に関連する交換子評価について前年度に引き続き研究を進めた.
また,時空共鳴法を用いた手法についても考察を進め,まず基礎的な問題に関して適用した結果を論文に纏めた。
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