研究概要 |
本年度は, 以下のテーマについて研究を推進してきた。 ■Montgomeryらが提唱した負温度点渦系の平衡分布解に関する検討 Montgomeryらが提唱した「負温度点渦系の平衡分布はsinh-Poisson方程式で記述される」という予言について, 専用計算機MDGRAPE-3を用いた大規模シミュレーションにより検証するのが本研究の第1目的である。特色は, (1)矩形+周期的境界条件を使っていない, 本質的に有限状態数となる円筒境界系を対象としている点, および(2)点渦数が類似の系と比べて多く, 精度上の心配が少ない点である。これらの特色は専用計算機MDGRAPE-3を用いて時間発展計算を行っていることに由来する。得られた結果は, 予想が十分成り立つ可能性が高いというもので, 現在, 最終的な検討を進めている段階である。 ■準安定状態分布を得るための数値的方法の開発 エネルギーが拘束条件となる小正準集団に対するモンテカルロコードを開発することを第1の目標として研究を進めた。コードは完成し, 結果の検討及び改良を進めている段階である。現状の問題点は, 点渦系が平衡分布に緩和するまでの計算時間が非常にかかることであり, 時間発展に要する時間と同じくらいか, むしろ時間がかかるケースも多い。このコードを実用化するためには, さらなる改良の必要性を感じている。
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