研究概要 |
既に我々はカイコ感染モデルを用いて、黄色ブドウ球菌の新規病原性遺伝子、cvfA、cvfB、cvfCを3つ同定している。CvfAはRNAの3'末端の環状リン酸ジエステル結合を分解する事が明らかになった。また、cvfA遺伝子欠損株の表現型がRNA分解酵素PnpAの破壊によって回復することが明らかとなった。さらに、PnpAは、CvfAの基質である2',3'-環状型RNAは分解するが、CvfAの分解産物である3'-P型のRNAは分解できないことが明らかとなった。すなわち、CvfAはRNAの3'末端の構造を変えることにより、特定のRNAの安定性を変化させ、病原性の調節に働くと考えられる。一方、cvfBの機能解析については、リコンビナントCvfBタンパク質がpoly(U)結合活性を有する事、並びにCvfBの結晶構造解析から、CvfBが新規の構造を持つRNA結合タンパク質であることが明らかとなった。また、cvfCにっいては、遺伝学的解析から、ヌクレオチド合成酵素であるthyAの発現を介して、黄色ブドウ球菌の界面活性剤耐性と溶血毒素産生に寄与することが明らかとなった。
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