川崎病の冠動脈病変の形成には細胞外器質の破壊が大きく関与しており、INF-γ、TNF-α、IL-6、MMPsなどが知られている。ARBが川崎病の冠動脈瘤形成に対して有効であるというデータはなく、LCWE(乳酸菌抽出液)をマウス腹腔内に注入して川崎病類似の冠動脈病変を惹起するマウスモデルを作製し、ARBが川崎病の冠動脈病変に与える有効性を検討した。LCWEで冠動脈に炎症が惹起され、ARB投与により組織学的に冠動脈周囲の炎症細胞浸潤は抑制された。心臓切片を使用したReal-time PCR法ではLCWE投与群でのmRNA相対発現量はPBS群と比較して、MMP-2(161%)、MMP-9(164%)、IL-6(177%)すべて高値を示した。ARBは川崎病モデルマウスにおける冠動脈病変のMMP-2、MMP-9、IL-6を抑制した結果、冠動脈瘤形成予防に有益である可能性が示唆された。今後治療介入目的で利用しうる合理的な薬剤の一つとなることが期待される。
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