Cytochrome P450(CYP)系は生体内で大量に存在するPhase I酵素ファミリーの一つであり、大腸癌においては発癌物質の代謝や抗癌剤に対する効果の面から注目されており、様々なCYPの発現や遺伝子多型と大腸癌リスクとの関連が報告されている。これまでに我々は、ヒトの大腸腺癌及び腺腫において、特異的にCYP2A6が過剰発現していることを報告した。さらに、潰瘍性大腸炎における再生陰窩上皮においてCYP2A6の過剰発現を認めた。また、大腸腺癌組織においては線維芽細胞像増殖因子受容体のFGFR2IIIcの過剰発現が認められ、FGFR2IIIcが大腸癌の発癌過程、及び進行において重要な役割を担っていることが分かった。本研究によって、大腸癌発生の予防と新たな治療の方策を見出す道筋を拓く可能性がある。
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