外尿道括約筋の横紋筋線維は遅筋成分を主体とし持続性の収縮により尿禁制に重要な役割を果たしており、外尿道括約筋の機能不全は難治性の腹圧性尿失禁の原因となる。今回我々は、外尿道括約筋から横紋筋の組織幹細胞である筋衛星細胞を用いて骨格筋特異的抑制因子であるマイオスタチンによる増殖分化制御機構について検討した。マイオスタチンはTGF-βスーパーファミリー経路のsmad-2をリン酸化し細胞周期停止をすることにより筋衛星細胞の増殖、また分化を抑制した。一方でマイオスタチンの競合的阻害因子であるフォリスタチンはsmad-2のリン酸化を阻害し筋衛星細胞の増殖抑制を阻害した。また外尿道括約筋衛星細胞にはマイオスタチンの発現が確認されたが抗マイオスタチン抗体で明らかな増殖抑制の阻害は認められずオートクリン作用は確認できなかった。 マイオスタチンの発現抑制は新たな腹圧性尿失禁の治療ターゲットになる可能性がある。
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