今年度は以下の2点において検討を加えた。 1・シェーグレン症候群(SS)患者末梢血におけるId3・E2Aの発現のより詳細な検討 これまでにSS患者の末梢血B細胞において、Id3発現が健常人より低下していることを明らかにしている。SSにみられるB細胞分化異常におけるId3およびE2Aの役割をより明らかにするために、現在SS患者の末梢血中のメモリーB細胞およびナイーブB細胞におけるId3・E2Aの発現の解析を試みているところである。 2・口唇腺におけるId3・E2Aの発現の解析系の確立 SS末梢血B細胞に認められたId3の発現低下によるB細胞の分化異常が唾液腺においても見られるのかを検討した。これまでに、口唇腺生検時に採集した口唇腺を細かく刻んだ上でリンパ球を分離し、末梢血リンパ球と同様にフローサイトメトリーでのT/B細胞の分布を解析しており、SSの診断基準にも用いられるGreenspan分類のgradeが高くなるにしたがって、リンパ球浸潤が多くなることやB細胞の割合が多くなることを確認している。しかし、口唇腺から取れるリンパ球の数では、よほど浸潤細胞が多くない限りcDNA合成に必要な細胞数を得ることが困難であった。そこで今後はId3およびE2Aに対する免疫染色法を用いてSS口唇腺における浸潤リンパ球でのId3・E2Aの発現および局在の解析を予定している。
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