口腔癌切除後に摂食・嚥下障害を引き起こす理由として、筋組織の実質欠損によるものだけでなく、病巣周囲の筋機能低下が影響している可能性が指摘されている。舌癌周囲の正常な筋では、再生する時や障害を受けて治癒する過程で増殖する遅筋型の筋に変化していることを明らかにした。 また、腫瘍マーカーとして用いられているHigh Mobility Group 1の分布についても検索を行ったところ、腫瘍部の細胞のみならず再生筋においても発現していることが分かった。 つまり、口腔癌周囲筋の筋線維は収縮力の弱い筋構成に変化し、さらに再生筋で構成されることから構造的にも機能的にも筋の機能低下を伴っていることが明らかとなった。
|