研究課題
若手研究(B)
女性にとってむくみ(下肢浮腫)は日常的におこるマイナートラブルであり、妊婦においても健康な妊婦でも70~80%、妊娠高血圧症候群妊婦では約85%に浮腫が認められるほどである。臨床的には、体重の増加と浮腫の程度を脛骨稜を手指で圧迫して判定している。しかし、その判断、方法は主観に左右され正確に定量化されていない。また、対処法の効果についても検討されているものはほとんどない。本研究目的は、妊婦の下肢浮腫を部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)を下腿に限局して用いて下腿水分の細胞内外比で評価し、その改善法を検討することである。1)合併症のない健康な妊婦の調査を行った。縦断的に調査した研究対象者においても、妊娠高血圧症候群、貧血などの合併を起こした者はいなかった。また、部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)を実施中に気分不良や起立性低血圧を起こした対象者は見られなかった。今回の対象者の中には脛骨稜を手指で圧迫して判定する浮腫の程度では、++の判定になる症例はいなかった。調査の結果、妊婦のむくみ(下肢浮腫)の自覚と部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)から算出した細胞外液量は相関を認めた。以上から、SBIA法における妊婦の個体のむくみの客観的評価は今後有用であると考えられる。2)成人女性への対処法の検討の結果、下肢挙上は、仰臥位に比べ、SBIA法においても、自覚的にもむくみは軽減した。また、足浴において、グレープフルーツオイルの有無で比較検討したところ、むくみの改善はグレープフルーツオイルの有無で統計的に差は認めなかった。しかし、足浴は、自覚的にもSBIA法によってもむくみに効果的であった。以上から、下肢挙上および足浴の効果が客観的にも明らかとなった。
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京都府立医科大学看護学科紀要 19
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