研究概要 |
昨年度に引き続き,「真正の評価(authentic assessment)」に向けた取り組みの事例として,米国エッセンシャル・スクール連盟(Coalition of Essential Schools)加盟校の実践に注目し,そこで「真正の評価」として位置づけられる取り組みが実践の中でどのような役割を果たしているのかを明らかにした。 次に,教育実践に内在している評価理論を検討するための素材として,本年度も実践者自身が書く実践記録に注目した。学校によっては,教師が実践記録を執筆する中で自分の実践を省察し,その実践記録を同僚教師と検討し書き直す中で新たな実践を展望するサイクルが校内研究として位置付いている。それはその学校におけるカリキュラム評価の重要な基盤となる。本研究では,実践記録の叙述構造から,学校の実践に内在している評価の構造を読み解き,その評価構造が学校の実践研究のスタイルを大きく規定している様相を明らかにした。 このとき大きな手がかりとなったのがOECD-DeSeCoのコンピテンス概念である。特に「コンピテンスのホリスティックモデル」と呼ばれるDeSeCo独特の能力概念が,日本で蓄積されている教育実践研究の方法論を問い直す新視点となることが本研究の中で見いだされ,この視点での事例研究を重ねることも可能となった。
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