わが国における脂質の摂取量は食生活の欧米化とともに増加傾向を示し、現在学童期の小児の約1割が肥満であるといわれている。しかし小児期の肥満と骨量、さらに脂肪細胞が分泌するアディポサイトカインと骨代謝に関する研究は非常に少ない。そこで本研究ではまず、高脂肪食肥満マウスを用いて経時的にサンプリングを行い、血清レプチン、アディポネクチン、骨長、骨密度、骨断面積測定、非侵襲的骨強度解析、3DマイクロCTによる骨梁構造の解析、HE染色標本による脂肪細胞の観察および組織形態計測を行った。高脂肪食摂取における肥満は早期に骨粗鬆症が惹起された。骨内部では、海綿骨における脂肪細胞の浸潤性が増すことによって骨密度が低下し、その後皮質骨密度が低下することが明らかとなった。また、すべてのマウスにおける血清レプチンと海綿骨密度には負の相関性が、皮質骨密度では正の相関性がみられた。一方、血清アディポネクチンと皮質骨密度には正の相関性がみられた。血清レプチンおよびアディポネクチンの作用機序は海綿骨と皮質骨で異なることが示唆された。
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