研究課題/領域番号 |
20H00030
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
塚田 孝 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 客員教授 (60126125)
|
研究分担者 |
吉田 伸之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (40092374)
杉森 哲也 放送大学, 教養学部, 教授 (20226468)
三田 智子 就実大学, 人文科学部, 准教授 (80713106)
齊藤 紘子 (山下紘子) 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80736942)
佐賀 朝 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40319778)
上野 雅由樹 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10709538)
彭 浩 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80779372)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 三都 / 巨大都市 / 都市社会構造 / 周縁性 / 比較史 |
研究実績の概要 |
研究目的である、三都(大坂・江戸・京都)について、①複合的な都市社会構造の解明、②周辺村方史料からの巨大都市の照射、③巨大都市の国際比較、の3本柱に即して調査・研究を進めた。コロナの影響により対面で集まれない状況が続いたが、研究推進のため、ニューズレターを毎月発行し(現在22号)、研究メンバーの交流を図った。 ①三都研究会を組織し、調査・研究を推進するとともに、成果を共有する研究会を実施した(小円座5回)。本研究の前提となる『シリーズ三都』(全3巻)の成果と課題を確認する作業を続けるとともに、三都や堺の「町」と仲間を検討する研究会を開催した。これ迄の成果や雛屋町史料の刊行を踏まえて、『史料から読む近世大坂』の出版準備を進めた。②難波村史料プロジェクトを設け、大坂南部に位置した難波村の庄屋が村方史料を編集・作成した諸一件史料(成舞家文書)の調査・分析を共同で進めた。19世紀の都市周縁部の実態、町村の構造が窺える「書上書抜帳」をテキストに成舞家文書を読む会を定例で実施した(これまで15回)。道頓堀周辺の周縁的社会構造の解明を図るべく、「浄土宗法善寺一件留」の翻刻・検討を進め、報告書2を刊行した。 ③国際ネットワーク構築チームを中心に、〈史料と社会〉の視角から、都市と周縁的社会集団の比較史を進めた。大阪で開催予定の国際シンポジウムは、オンラインのメイン企画と連続セミナー(6回)として実施し、日本と中国、インド、オスマン帝国などの諸研究を検討する場として議論を積み上げた。現在、その成果をまとめて論文集を出版する準備を進めている。イェール大学での学術交流もオンラインで実施した。〈史料と社会〉の視角からの比較史の基盤づくりのため、都市大坂を対象に、古文書史料の読解から歴史像を立ち上げる研究ノートの英語版(10回)をHPで公開するとともに、メイン企画と連続セミナーの記録をHPに掲載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の三本柱に即して、チーム編成を行うとともに、ニューズレターによって全体の進捗状況を共有しながら、研究を進めた。また、出張が制約されたため、オンラインでの研究会を定期的に開催して、研究を蓄積した。①では、『シリーズ三都』の成果と課題を確認するとともに、三都の「町」や仲間の分析を蓄積するとともに、堺へも視野を広げた。中間報告書は、『史料から読む近世大坂』(仮)として出版社から刊行する予定で準備が進んでいる。②では、成舞家文書を読む会を定着させ、巨大都市大坂の周縁に位置する「町村」としての難波村の実態解明が大きく進んでいる。また、3年目に想定していた法善寺関係史料集の2冊目をまとめることができた。③では、コロナウイルスの蔓延で、海外から研究者を招聘できなかったため、7ヶ月にわたるオンラインの連続セミナーとメイン企画という形で大阪市立大学国際学術シンポジウム2021ーを開催した。また、イェール大学で予定していた学術交流もオンラインレクチャーで実施したが、時差があり短時間にせざるを得なかった。なお、大阪市立大学国際学術シンポジウムの成果はまとめて出版の準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者・研究分担者を中心に運営委員会・事務局で緊密に連絡を取り合い、3チーム全体で情報を共有しつつ、研究の芽となる着想や関係史料を紹介する場としてニューズレターを継続し、さらに発展させる。 ①については、三都それぞれの複合的な都市社会構造の解明を進めるとともに、中間報告書に代えて、大坂の「町」と仲間の検討を軸に、史料から歴史像を立ち上げていく実践として準備中の『史料から読む近世大坂』の出版をできるだけ早く実現する。その先に『シリーズ三都』の成果を発展させた論集を構想する。②難波村史料プロジェクトの活動をさらに強化し、月1回のペースで成舞家文書を読む会を開催するとともに、法善寺関連史料の翻刻を蓄積し、3冊目の史料集の準備を進める。成舞家文書を読む会の成果を報告書「19世紀・難波村の諸問題」(仮)にまとめることを検討する。それらを通して、大坂の都市周縁部の社会構造の解明につなげる。 ③国際ネットワーク構築チームを中心に、海外の研究協力者(米国、フランスや中国・シンガポール)とオンラインのセミナーや打合せなどで緊密に連携を図り、上海(社会科学院・上海大学)やイェール大学などでの国際シンポジウムの開催を模索していく。海外出張・招聘が困難な状況が継続した場合には、2021年度までの経験を活かして、多様な交流のあり方を工夫する。大阪市立大学国際学術シンポジウムの成果をまとめた研究書の出版を実現する。
|
備考 |
2017~2019年度に大阪市立大学大学院文学研究科が取り組んだ「国際的な活躍が期待できる研究者の育成事業」のHPを本科研の活動を反映させて維持・発展させているもの。
|