研究課題/領域番号 |
20H00060
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 正顕 東北大学, 法学研究科, 教授 (30328992)
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研究分担者 |
森井 裕一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00284935)
前田 健太郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00613142)
加藤 雅俊 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10543514)
MASLOW SEBASTIAN 仙台白百合女子大学, 人間学部, 講師 (10754658)
上川 龍之進 大阪大学, 法学研究科, 教授 (40346656)
池上 岳彦 立教大学, 経済学部, 教授 (50202875)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
八十田 博人 共立女子大学, 国際学部, 教授 (70444502)
李 東俊 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (70755553)
杉之原 真子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (80376631)
平田 武 東北大学, 法学研究科, 教授 (90238361)
高安 健将 成蹊大学, 法学部, 教授 (90399783)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 財政再建 / デモクラシーの変容 / 先進資本主義諸国の比較 |
研究実績の概要 |
実施計画においては、1)地域研究分担者の各専門地域における財政再建国家化の経緯と現状に関する調査、各研究対象国のリアルタイムの情報を収集・整理;2)地域研究班の情報共有と理論的方向付けのための1~2名ずつの研究報告;3)関連テーマについての論文・著書・国内外の学会報告などの業績発表への個別的取り組みが掲げられていた。 1)については、コロナ問題の発生により国内外での実地調査が不可能になる中、各分担者の下で情報集積が順調に進められ、3)についても単著・共著論文23点、共著書・訳書7点、学会等報告8件を始めとして個別の研究成果が着実に見られた。 2)については、2020年7月 25日 (土)に初会合が持たれ共同研究の運営方針ついての確認が行われた後、9月30日に、東北大学政治学研究会との共催で近藤康史氏(名古屋大学)を講師とする研究会が開催され、12月15日に馬場香織氏(北海道大学)・李東俊氏(北九州市立大学・本科研分担者)を講師とする研究会が開催された。 近藤氏の報告では、財政再建国家化の文脈の中でのイギリスにおける社会民主主義の変容ないし再生の可能性が議論された。馬場氏・李氏の研究報告は、それぞれメキシコ・韓国における福祉国家化に対する財政再建の制約を論じたものである。メキシコについては、左派政権の下でも階層的社会保障制度が維持されているのはなぜかという問題提起がなされ、また韓国については左派政権下でも執拗に維持された財政再建という命題についての指摘があった。 一方、コロナ問題の継続の中で先進各国政府の財政規律の弛緩が顕著となり、財政思想についても大きな変化が観察されることも明らかである。このことから、財政再建国家化という切り口自体に再考の余地があるのではないかということや、またポストコロナの段階でどのような揺り戻しがあり得るのかという点も、今後の検討課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)2020年初頭以来のコロナ・パンデミックの影響により、事例研究を担当する分担者による国内・海外での移動・実地調査が困難となり、計画の変更・延期を余儀なくされたことが研究の一部遅れを生じさせている大きな原因である。 2)年度末には代表者の研究機関の所在地である仙台にて大型の地震が2度発生し、代表者及び一部の分担者の研究室に、復旧が翌年度にまたがるほどの被害が出たものの、年度内に予定されていた研究会を一部延期した以外に影響は出なかった。 3)以上のような状況にもかかわらず、オンライン会合の実施や、各分担者における個人レベルの研究については予想を上回る成果を上げることが可能となった。初の試みであるオンライン会合については、当初不慣れな点もあったものの、物理的移動を必要としないことで遠距離からの参加も可能であることから、メリットも大きいということが分かった。 以上のことから、共同研究全体としてはそれほど大きな後れをとることなく、進展したと評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
1)本研究に関係する基礎文献・資料の収拾については引き続き精力的に進めてく。 2)引き続き定例の研究会合を進め、各分担者の研究の進捗状況に関する共有を進めていく。成果物の作成に向けて研究報告の方向性をより収斂させる方向で研究会を運営したいと考えている。 3)引き続き、国内外での実地調査の可能性を模索するが、各国において電子化資料の公開が進み、机上調査で代替できる部分も増えてきているので、補完的な手段としてこれらも積極的に活用していきたいと考えている。 4)国際シンポジウム・ワークショップ等の開催については、オンライン化により容易になった面もあるが、技術的にクリアしなければならない課題もあるので、この点につき担当する分担者と相談しながら進めていく。 5)最終年度の最終成果物の作成に関して、出版社とやり取りして出版計画の具体化を進める。
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