研究課題/領域番号 |
20H00145
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
斎藤 勇一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 部長(定常) (40360424)
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研究分担者 |
岡本 宏己 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 教授 (40211809)
伊藤 清一 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 助教 (70335719)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イオントラップ / レーザー冷却 / 単一イオン引出し / NVC多量子ビット |
研究実績の概要 |
・イオントラップ設計・製作 イオントラップの設計・製作及びトラップされたイオンの挙動をシミュレーションにより求め、そこから単一イオンをトラップ軸に沿って高精度で射出できるかどうか数値的に検証した。作製した線形ポールトラップ(LPT)の電極構造を想定し、独自に開発した3次元コードを使って、紐状結晶からイオン1個を分離するシミュレーションを行った。まず、引き出し側の端板電極に印加されている直流バイアスを10 ナノ秒で接地させ、軸方向閉じ込めポテンシャル障壁の片側を開放する。その後一定時間待ってから、バイアス電圧を元の値へ戻して障壁を再構築した。計算の結果、4個のイオンで構成される紐状クーロン結晶から単一イオンを分離・射出することに成功した。この時、トラップ中に残った3個のイオンは加熱により大きく振動するため、全てのイオンをひとつひとつ高精度で射出するには残存イオン群を再冷却する必要があることがわかった。射出されたイオンはほぼトラップ軸に沿って移動することを確認した。100回分の独立したシミュレーションから二乗平均射影エミッタンスを評価した結果、水平・鉛直方向共に10^-15 メートルのオーダーが実現可能であることが分かった。 ・加速レンズ&ビーム計測システム設計・製作 2段加速レンズの形状について、1段目、2段目とも加速レンズにするタイプと2段目を低エネルギービーム集束に利点のあるアインツェル様にするタイプを考案し、シミュレーションにより印加電圧や縮小率などを比較した。この結果、アインツェルレンズで加速レンズと同程度の縮小率を得るには、大きな印加電圧が必要で、このレンズを使用する利点が少ないことが分かった。このため、本研究でも、加速レンズを二段にした二段加速レンズを使用することとし、概略的なレンズ形状等を決めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の計画では、(1) 線形ポールトラップの設計・製作を完了、(2) 加速レンズの設計・製作に着手することになっており、(1)については、予定どおり設計・製作を完了し、(2)についても設計に取り掛かり、本年度、設計・製作を完了する予定となっている。したがって当初の計画どおり、おおむね順調に研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、計画に沿って共同冷却実験を開始する。また、加速レンズの設計・製作を完了し、加速レンズの性能試験を実施する。これらから得られたデータを基に、2022年度から試験機を製作し、実証実験に着手する。
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備考 |
プロジェクト「レーザー冷却単一イオン制御技術研究」ホームページ https://www.qst.go.jp/site/laser-cooled-ion/
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