研究課題
2023年度は、線形ポールトラップ(LPT)でトラップしたN_2^+イオンのCa^+イオンによる共同冷却のテスト及び分子動力学法によるクーロン結晶の解析を行った。共同冷却では、N_2ガスをLPT設置チェンバー内に10^(-10)から500mbar・L/s程度まで導入し、Caオーブンを300℃に加熱、発生したCa原子を励起とイオン化用の2本のレーザー(423nm + 390nm)によりCa+を生成し、冷却用の2本のレーザー(397nm + 866nm)によりCa^+のみのクーロン結晶を生成させた。次に、電子銃によりN_2分子をイオン化しCa^+とN_2^+の混合イオン集団を形成させ、その中のCa^+をレーザーにより冷却した。冷却されたCa^+によりN_2^+が冷却され、結果として4個のCa^+と1個のN_2^+からなる紐状の混合クーロン結晶の作製に成功した。また、これらの結果は、分子動力学法によるシミュレーションの結果とほぼ一致し、ある実験条件の下で形成されうるクーロン結晶構造を予測できることを示した。LPT中でトラップ・冷却されたN_2^+イオンを引き出した後に加速レンズにより収束し、数十nmの位置精度で標的に注入し、注入されたことを確認する予定であったが、共同冷却のテストに想定外の時間がかかったため期間内の達成が困難となった。しかし、加速レンズ等の装置の整備は完了しているため、引き続き研究を進める予定である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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