研究課題
基盤研究(A)
Athena 計画は、欧州宇宙機構が大型計画に採択した、大型X線天文衛星計画である。巨大なX線望遠鏡、精密撮像分光を可能にするX線マイクロカロリメーター (X-IFU)、広視野を誇るDEPFET (WFI) を搭載する。その規模から、日米の国際協力が必須の計画である。Athena のX線望遠鏡は、正規の2回反射以外のパスで混入する迷光が非常に多い。この迷光を減少するため、我々は超軽量のプリコリメターの開発を行った。また、望遠鏡の反射材イリジウムのX線吸収端による集光力減少を防ぐため、ダイアモンドライクカーボンなどの軽元素コーティングの基礎開発を行った。また、観測計画立案にも関わった。
X線天文学
Athena は、1.どのようにして物質が集積して、今日の大規模構造を形成したのか、2.どのようにして超巨大ブラックホールは成長し、そして宇宙に影響を与えたのか、の解明を目指す。これらのテーマは、「宇宙・物質・空間は何故できたのか」という人類の知的興味に深く関わっており、この課題にX線天文学を通して真っ向から答えようとするミッションである。また、Athenaは2030年代において、ALMA、SKA、TMT などの他の波長の大型観測装置と並んで、宇宙物理学の重要な課題に挑戦するミッションの一つとなる。この研究は、Athena を確実に実行可能なミッションとする意義を持つ。