研究分担者 |
石田 章純 東北大学, 理学研究科, 助教 (10633638)
杉谷 健一郎 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20222052)
AGANGI ANDREA 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (20840812)
掛川 武 東北大学, 理学研究科, 教授 (60250669)
大友 陽子 北海道大学, 工学研究院, 助教 (80612902)
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研究実績の概要 |
R5年度は掘削されたコアの観察・サンプリングをベルリンにあるBGR (ドイツ地質調査所) のコアセンターにて行った. 掘削コアは5サイト, 8本, 総延長は3131mにわたるが, 本研究で着目したのは, ムーディーズ層群では比較的深海域に堆積したと考えられるシルト質砂岩やジャスパー, 縞上鉄鉱層を含むサイト1 (Eureka Syncline), サイト5 (Stolzburg Syncline) のコアである. それぞれのコアで約70 mの区間において1, 2 mのインターバルで約50試料ずつ計約100試料のコア (~10 cm) を採取した. これらの試料の多くは陸域からの物理的な供給による砕屑物質と海洋からの化学沈殿物質の両方を含んでおり, これらの起源や堆積環境, 海洋環境を知る上で重要な情報を提供することが期待される. ただし, これらの試料の化学・同位体分析は本研究課題では間に合わなかったため, これまでに坑内掘り鉱山の坑道内にて得られた同一層準の試料を用いて, マトリックス(泥/砂)比による堆積環境の推定, 鉄同位体比, 磁鉄鉱中の微量元素組成の分析を行った. その結果, 全岩の鉄同位体比はマトリック比の低下とともに低下する傾向を示した. さらにこれらのシグナルと呼応する形で磁鉄鉱中の微量元素濃度(クロムやバナジウムなど)は増加する傾向を示した. これらの結果は鉄同位体比や磁鉄鉱中の微量元素組成が海洋からの初期沈殿時の情報を保持していることを示している. クロムやバナジウムなどの微量元素濃度が堆積環境によって異なることは, 当時の海洋が深度によって濃度が異なっていたためと考えられ, 酸化還元環境について成層構造を持っていたことが考えらえる.
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