研究課題
琵琶湖において,京都大学生態学研究センターがかつて採取し,ホルマリン漬けで保存されている各種の魚など生物アーカイブ試料を倉庫の中から選択した。それらの多くは,1962年および1963年に採取されたイサザ,カマツカ,カジカ,ハス,フナなどの魚種であり計約20試料になる。それらの一部について個別アミノ酸の窒素同位体比についてGC/C/IRMS(ガスクロマトグラフィー/燃焼/同位体比質量分析計)を用いて測定した。その結果,以前から指摘されていたようにイサザの栄養段階は,20世紀初頭から21世紀初頭に至る100年間にわたって3.2-3.3であり,この期間を通してほぼ変化がないことが追認された。またハスについては,1962-1963年は栄養段階が3.0付近であったのが,1980年代には3.6付近にまで上昇していたことが新たに明らかにされた。方法論については,アミノ酸炭素同位体比の測定法について2020年に論文発表したものに改良を加えスピードアップさせた。またアミノ酸の窒素同位体比の測定についても,GC/C/IRMSを用いる方法と,EA/IRMS(元素分析計/同位体比質量分析計)を用いる方法とを比較してその検証を行い,論文としてまとめて投稿した。
2: おおむね順調に進展している
分析法の改良や,試料の選択やアミノ酸の窒素同位体比測定などについて,おおむね予想どおりに進捗している。
2022年度はさらなる試料について分析を行うとともに,最終年度であるため,結果のとりまとめを行う予定である。年度末には総合地球環境研究所で行われる「同位体環境学シンポジウム」で本研究の成果を講演し,本基盤Aに参加していない研究者とも議論する予定である。
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すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Progress in Oceanography
巻: 195 ページ: 102591
10.1016/j.pocean.2021.102591
Frontiers in Marine Science
巻: 8 ページ: 465
10.3389/fmars.2021.641282
International Journal of Mass Spectrometry
巻: 463 ページ: 116529
10.1016/j.ijms.2021.116529
https://www.jamstec.go.jp/biogeochem/member/ohkouchi/index.html