研究課題
基盤研究(A)
人口データと河川マスクデータを用いた分析から東北地方のどの県も人口ゼロの河川域と河川長が一定に拡大するのではなく加速しており,その加速度はおおよそ0.7~4.5km2/年2(河川長9km/年2)であった.人口減に付随して河川の栄養状態が減退し,滑行型の優占分類群であるヒラタカゲロウ科の餌資源である付着藻類が減少したこと,固着型や遊泳型が減少したこと,が推察された.人口減少域の田の減少により東北地方の中小河川において年最大流量が1.5~6.7%増加したと考えられた.氾濫を考慮して河道と土地利用を変化させた場合,年最大流量は7%程度減少し,氾濫を考慮しない場合より約1%の減少が見られた.
水文学
地域のコミュニティに強い影響を与える中小河川の管理に注目しており,これらの基礎となるデータを提供し,河川管理を放棄する地域の特定や,自然河川へ導く方法を見出したことは,人口減域の河川管理に一石と投じたといえる.川じまいを多面的に考察した本研究は,水文学,河川工学だけでなく,水を中心に考えた流域圏の都市計画学,環境工学,生態学,農村工学,社会学などの関連分野に大きなインパクトを与え,その学術的かる社会的意義は大きいと考える.