研究実績の概要 |
本研究では,(1)時空間分子プログラミングに適した反応系の設計,(2)形成したパターンの物質化,(3)シミュレーションモデルの構築の3つを研究目的としている. 今年度,(1)の時空間プログラミングに適した反応系の設計,および(2)の形成したパターンの物質化については,ゾル中の反応拡散パターン形成実験を行い,波打ちや霧散などの特徴的な動的パターンの生成条件を絞り込むと同時に,生成された動的パターンの物性測定に取組んだ.また,新たな試みとして反応場中のDNA分子に電場を印加することにより積極的にパターンを形成する手法の開発に着手した.これまでに,予備的な流路形状の設計,泳動条件の検討,反応系の設計などを行い,スケーラブルなシステム構築が可能であるという感触を得ている.(3)のシミュレーションモデルの構築については,前述の電場駆動反応拡散場のスケーラブルな拡張可能性について数理的な検討を行った.
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今後の研究の推進方策 |
動的なパターン現象について,今後は,マイクロビーズなどの微粒子を系に混入することで,より精密な計測を行い,反応,拡散および移流のそれぞれの効果について定量的に評価し,動的反応拡散現象のモデル化に取り組む.また,能動的に動くエージェント,例えば電場駆動ヤヌス粒子や分子モーターなどをゲル中に封入し,その挙動をDNAによってプログラムし制御する方法の開発にも取り組む.あわせて,電場駆動反応拡散系の実証を目指し,複数の反応槽での反応拡散生成物をマイクロ流路により分離統合した反応拡散システムを構築する技術の開発に取り組む.
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