研究課題/領域番号 |
20H01270
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 美千子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40372346)
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研究分担者 |
坪根 由香里 大阪観光大学, 観光学部, 教授 (80327733)
布施 悠子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (70782598)
脇田 里子 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (20251978)
菅谷 奈津恵 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (90434456)
副田 恵理子 藤女子大学, 文学部, 准教授 (90433416)
松岡 洋子 岩手大学, 教育推進機構, 教授 (60344628)
村岡 貴子 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (30243744)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教師教育 / 日本語教師養成 / 日本語教師研修 / ライティング教育 / 専門能力開発 / 書く / 第二言語 / 日本語教育学 |
研究実績の概要 |
初年度の2020年度は、全体会議7回、研究報告3回、個別ミーティング、文献講読等を重ねながら、以下の事項に取り組んだ。 第一に、文化審議会国語分科会による「必須の教育内容」に対応済みの大学・大学院が公開しているシラバス情報(2020年8月現在)を分析資料として、日本語教育科目で「書く」指導が扱われているか否かの把握を試みた。その結果、106機関中50機関で扱われていたものの、半数に満たないことがわかった(鎌田・松岡・脇田)。第二に、2年目前半の質問紙調査に向けて、「書く」指導の難しさに関するPAC分析(坪根・鎌田)と「書く」指導への不安に関するPAC分析(布施)を行い、それぞれの結果をもとに質問項目を作成した。難しさに関する研究成果は、2021年6月開催の小出記念日本語教育研究会での研究発表が決定している。不安に関する研究成果は、2020年度日本語教育学会秋季大会で発表した。第三に、2年目後半のインタビュー調査に向けて質的分析ソフト講習会を行い(菅谷)、主にコーディングに関する理解を深めるとともに分析方法について協議した。第四に、養成課程の大学生のアカデミックライティングの学習状況と困難点を把握するためにインタビュー調査を行い、大学生活全般の学習状況と指導すべき点について考察した(副田)。この研究成果は、2021年度に関連学会で発表する予定である。第五に、本研究の意義と必要性に関して東京大学大学院人文社会系研究科・文学部の第58回文化交流茶話会において「日本語教授法開発と教師養成」と題する発表を行った(鎌田)。この研究成果は、『文化交流研究』第35号に投稿予定である。第六に、ドイツ語教師用指導書の分析に向けて関連箇所の翻訳を進めた。 以上の研究実績は、今後の日本語教員養成・研修のあり方を検討する上で不可欠なものであり、これらを基盤に調査研究を推進していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述したように、2020年度は、(1)シラバス調査、(2)PAC分析に基づく調査項目の検討及び質問紙作成、(3)分析方法検討のための質的分析ソフト講習会、(4)大学生を対象にしたアカデミックライティングに関するインタビュー調査、(5)本研究の意義と必要性に関する研究発表、(6)海外の教育状況を把握することを目的としたドイツ語教師用指導書の検討に向けた翻訳をそれぞれ進めた。上記(1)(2)(6)は、当初の計画通りに遂行したものである。加えて、上記(3)(4)(5)により当初の計画以上に進展することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、(1)大学の日本語教員養成課程で学ぶ大学生及び日本語教育経験1年以上の日本語教師を対象とした質問紙調査、(2)大学の日本語教員養成課程で学ぶ大学生、日本語教育経験1年以上の日本語教師、大学の日本語教員養成課程の担当教員を対象としたインタビュー調査を実施する。当初の計画では、質問紙調査の対象に大学院生を含めていたが、大学院生には現職日本語教師をはじめ、社会人学生、留学生等も含まれ、属性が多岐に亘るため、日本語教師群と比較分析する際に必ずしも一律に扱えないことから、本調査の対象から除外することとした。 上記(1)及び(2)の調査で得られた結果を十分に精査した後、2022年度に実施予定の養成セミナー及び研修セミナーの試案の策定に2021年度中に着手する。試案の策定にあたっては、総論(鎌田)、ライティング課題(菅谷)、リソース活用(副田)、思考ツール(脇田)、パラフレーズ(鎌田)、ナラティブ及び教師ビリーフ(坪根)、専門日本語(村岡)、海外の教育事情及び異文化理解(松岡)、ライティング不安及び教師不安(布施)を取り上げ、研究者間で相互に意見を交わしながら検討を重ねていく。 2020年度は初年度であったため、研究発表や論文投稿の数が限られていた。今後、上記(1)及び(2)の研究成果を取りまとめ、研究発表及び論文投稿を積極的に進めていく予定である。
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備考 |
<雑誌論文・学会発表・図書に当たらない研究発表> 鎌田美千子「日本語教授法開発と教師養成」,東京大学大学院人文社会系研究科・文学部 第58回文化交流茶話会(2020年11月19日)
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