研究課題/領域番号 |
20H01392
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
池口 明子 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (20387905)
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研究分担者 |
前田 洋介 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10646699)
崎田 誠志郎 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 外来研究員 (10823411)
湯澤 規子 法政大学, 人間環境学部, 教授 (20409494)
服部 亜由未 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (70708370)
横山 貴史 立正大学, 地球環境科学部, 特任講師 (70710151)
今里 悟之 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (90324730)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 順応的環境ガバナンス / 生態系アプローチ / 生態知 / 知識分布 |
研究実績の概要 |
1.順応的環境ガバナンスと,その地域的諸条件に関する理論的・方法論的検討 本年度は流域を単位とする生態系アプローチ,および順応性を高めるローカルな生態知の村落内分布の分析枠組みについて既存研究を整理した。統合的流域管理モデルは,生態系アプローチを採用する代表的なモデルであり,その目的は公共・民間部門の参加によって海洋と河川生態系の統合的ガバナンスを図るものである。多様な主体の参加が想定されるものの,参加型民主主義の視点や,文化生態論的な視点による知識分布に言及した研究はわずかであることがわかった。後者による近年の研究では,村落や漁業者がおかれた政治経済的な状況が,知識分布に作用することが指摘されていることから,実証的な地域研究から日本の沿岸における知識分布の時空間的変異を明らかにする必要がある。 2.村落と家族の役割に関する事例研究 漁業協同組合,村落,および家族のスケールで,環境変動への対応と漁業者の生態知の分布に関する研究枠組みを検討した。漁業協同組合については,三陸養殖地域を対象として組合の業務報告書を震災前から現在までデータベース化して分析資料を作成した。村落スケールでは五島列島の延縄漁業者が祭祀集団としておこなった活動記録を入手し,人口が大きく変化した大正期から平成期までの祭祀行事についてデータベース化することで,集団規模の変動を分析するための資料を作成した。 3.国際合同調査とワークショップによる研究モデルの構築 チリの沿岸資源利用研究者を招聘し,合同現地調査をおこなうことで共通分析項目について議論をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では事例研究の成果をフィードバックさせながら理論的枠組みを検討する計画であるが,コロナ禍のため現地調査が計画通りに実行できないケースがあったため,全体として作業がやや遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査の遂行可能性は未だ不透明であることから,2次資料を活用した資料作成をすすめる。漁業協同組合の合併がすすむ一方で,村落スケールの資源・漁場ガバナンスの役割はむしろ増大していることから,昭和の大合併以前にさかのぼり,漁村の主要な漁法や主な漁獲対象,漁業権種類などをデータベース化する。また青森県十三湖を対象とした共同調査を文献研究からすすめ,可能な段階で合同現地調査をおこなう。国際共同研究のネットワークづくりがコロナ禍により停滞しているが,近年欧州諸国では検疫が緩和されつつあることから,国際学会に積極的に参加するなどしてネットワーク化に努める。
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