研究課題/領域番号 |
20H01492
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10322992)
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研究分担者 |
玉井 寿樹 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (00456584)
古川 雄一 愛知大学, 経済学部, 教授 (50510848)
荒 知宏 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (80648345)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インフラ整備 / 制度設計 / 貿易費用 / 生産性 / グローバル経済 |
研究実績の概要 |
「インフラ整備と貿易費用」「インフラ整備と生産性」「制度設計と貿易費用」「制度設計と生産性」の4つのテーマについて、理論モデルの構築と分析を行い、分析結果の現実経済との整合性を検証することを通じて、グローバル経済におけるインフラと制度資本の構築・整備の在り方を検討した。 研究代表者の研究成果は以下の通りである。製品差別化を伴う不完全競争の産業内貿易モデルに、貿易費用に影響を与えるインフラの整備に関する政府間の政策ゲームを導入し、理論的に分析した。インフラ整備に関して、1期間ですべて終了する静学モデルと、インフラが資本ストックとして時間を通じて蓄積する動学モデルをそれぞれ分析し、論文をそれぞれ国内の英文学会誌と国際学術誌に発表した。また、公共財の性質を持つ知識資本の蓄積が寡占企業によるR&D投資を通じて行われる状況を動学ゲームとして描写し、均衡の性質を詳しく分析した研究を研究会で報告した。別の研究では、リカード的な小国貿易モデルに公共中間財の生産性効果を導入し、貿易パターンと貿易利益について包括的な分析を行い、論文を国際学術誌に発表した。制度設計と貿易や生産性に関しても、関連する研究を論文にまとめ、国際学術誌に発表した。 研究分担者の主な研究成果は以下の通りである。"weakest-link"タイプの外部性の下での民間資本と公共資本の蓄積を伴う内生的成長モデルを構築し、最適な税率の性質について検討し、論文を発表した。最低賃金制度が企業のイノベーションに対する影響について、R&Dベースの開放経済成長モデルを用いて理論的に分析し、また中国の企業レベルの特許データを用いて実証分析を行い、論文を国際学術誌に発表した。連続財リカードモデルと独占的競争の異質企業モデルを融合し、貿易自由化の効果の分析や重力方程式の導出などを行い、論文を国際学術誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症の影響で、国内・海外の学会が軒並み中止・延期になり、研究報告の機会が失われた。また、大学での教育活動や学内業務においてコロナ対応に伴う様々な業務の増加により、研究時間がかなり削られた。それにもかかわらず、オンラインの研究会での研究報告や論文の作成と投稿等を進めていき、コロナの影響がなかった場合と遜色ない研究成果を挙げられたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
可能な限り、研究代表者と分担者全員で随時ミーティングを行い、各自の研究の進捗状況についての確認と意見交換を行う。 研究代表者の今後の研究推進計画は以下の通りである。インフラ投資の戦略的競争に関する理論研究に関して、R&D投資を通じた知識資本蓄積における寡占企業間の戦略的相互依存関係を考慮に入れた動学ゲームの理論モデルについては、論文の国際学術誌への投稿を目指す。また、貿易費用に影響を与えるインフラ資本の蓄積に関する政府間の政策ゲームの動学分析に関しては、企業の異質性を考慮に入れたモデルの構築を進める。そして、インフラ整備あるいは制度設計に関して、政府と民間企業間の関係を考慮に入れた動学ゲームの理論モデルについて様々なトピックが考えられるので、モデルの構築を図る。 さらに、研究分担者のそれぞれの研究領域について、共同研究も視野に入れて研究の推進を図る。例えば、開放経済下の教育投資・研究開発を通じた知識資本ベースの経済成長に関する理論分析において、民間部門による研究開発と政府による教育インフラの改善の相互作用や、政府の法制度の競争の程度やその他の市場インフラに与える影響などを明示的に考慮に入れた経済成長モデルを構築する。また、上述の企業の異質性を考慮に入れたインフラ投資の動学ゲームモデルに関しては、異質的経済主体の分析手法に通暁している研究分担者に意見を聞きながら、理論構築と分析を行っていく予定である。
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