研究課題/領域番号 |
20H01505
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
稲葉 大 関西大学, 経済学部, 教授 (50611315)
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研究分担者 |
奴田原 健悟 専修大学, 経済学部, 教授 (30553672)
大津 敬介 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (50514527)
高橋 修平 京都大学, 経済研究所, 准教授 (60645406)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 異質性 / 税制 / ラッファー曲線 / 個人固有のリスク / 構造ショック / 労働ウェッジ |
研究実績の概要 |
本研究では、経済に存在する様々な異質性を考慮した動学的一般均衡モデルに基づき、消費の不確実性や資産格差、マクロ経済変動の要因分析を行い、バブル に対する事前規制、税制・財政・金融政策といった経済政策の有効性を検証することを目的とする。各種の異質性が存在する経済においては、これまでの同質的 な経済における経済政策とはその有効性が異なることが指摘されている。本研究では「家計固有のリスク」・「金融市場の不完全性」・「動学的一般均衡モデル に想定される様々な構造ショック」の三つの異質性に着目している。 2021年度の研究実績としては、Hiraga and Nutahara(2022)、Nakajima and Takahashi(2022)がある。Hiraga and Nutahara(2022)では、消費税率と税収との関係性を示す消費税のラッファー曲線に注目し、ラッファー曲線の形状や税収の最大値が、家計の効用関数の形状や得られた税収の用途によって大きく変更することを発見した。さらに、消費税のラッファー曲線がどのような場合に逆U字型になるかについての分析を行うことで、税制の政策効果を検証した。Nakajima and Takahashi(2022)では、個人固有のリスクに対する市場が非完備の状況において、政府資産と資産収入の関係を定性的・定量的に分析した。このようなケースでは、政府資産の増加は結果的に政府の資産所得をマイナスにまで減少させる。この結果は、政府の資産所得は政府資産に対して比例的に増加する代表的個人モデルとは異なるインプリケーションがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の3つの業績のうち、Hiraga and Nutahara(2022)はワーキング・ペーパーとして一般に公表している。またNakajima and Takahashi(2022)はマクロ経済学の分野において評価の高い査読付き英文ジャーナルに掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
Hiraga and Nutahara(2022)は査読付き英文ジャーナルに投稿し、掲載を目指す。また、「動学的一般均衡モデルに想定される様々な構造ショック」のプロジェクトについて、2020年度の業績であるInaba, Nutahara, and Shirai(2020)の査読付き英文ジャーナルへの掲載を目指す。また、Inaba, Nutahara, and Shirai(2020)のモデルでは考慮されていなかった労働市場の問題を分析に加えた上で、新しいベイズ手法によって推計を行い、推計結果や経済政策の効果において、先行研究と比較することにより新しい知見を得ることを目指す。
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