研究課題/領域番号 |
20H01517
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小野 有人 中央大学, 商学部, 教授 (40756342)
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研究分担者 |
安田 行宏 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (10349524)
郡司 大志 大東文化大学, 経済学部, 教授 (50438785)
内田 浩史 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60294295)
鎮目 雅人 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80432558)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 金融仲介コスト / 流動性創出機能 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は二つある。第一は、日本の金融業所得、金融仲介サービス量に関する長期のデータベースを構築し、日本の金融仲介コスト、流動性創出指標(liquidity creation measure, 以下LCM)を計測して、日本の金融仲介機能の長期的な変化を定量的に明らかにすることである。第二は、金融仲介コスト、LCMの時系列変化、銀行間の差異に関する実証分析を行うことである。2020年度は、第一の目的に関して以下の実績があった。まず、研究補助者を採用し、1950年以降から現在までの日本の金融仲介コスト、LCMを計測するためのデータベースを構築した。このデータベースには、銀行、政府系金融機関、証券会社、保険会社等の様々な金融機関の損益計算書・貸借対照表、家計や企業等の金融サービスのユーザーの金融資産・金融負債額(ストック及びフロー)が含まれる。次に、このデータベースを用いて、日本の金融仲介コスト、LCMの計測方法と計測結果を詳述した日本語ワーキングペーパー(RIETI Discussion Paper 21-J-047, 21-J-048)をそれぞれ執筆した。さらに、研究成果を公開・情報発信するために、研究プロジェクトのホームページを作成した。この他、プロジェクトメンバー各自が金融仲介機能に関するさまざまな分析を行い、雑誌論文、図書、学会発表の形で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、(ア)データベースの構築、(イ)金融仲介コスト、LCMの計測、を予定していた。「研究実績の概要」に記したとおり、データベースを構築し、金融仲介コスト、LCMの計測方法と計測結果を記した日本語ワーキングペーパーを執筆しており、順調に進展していると考えている。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた海外出張が実施できなかったため、論文の成果発表、および研究者からのフィードバックを得ることなどにやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
金融仲介コストについては、既に執筆した日本語ワーキングペーパーの改訂作業を行ったうえで、英文ワーキングペーパーを執筆する。とくに、日本語ワーキングペーパーでは分析が不十分であった保険会社、政府系金融機関、ノンバンクなどの非預金取扱金融機関の金融業所得に関する修正作業を行う。LCMについては、既に執筆した日本語ワーキングペーパーを改訂し、レフェリー付きの学術誌に投稿している。また、銀行レベルの個票パネルデータを新たに構築し、実証分析を行ったワーキングペーパーを執筆する予定である。いずれの分析も、データ入力等の作業を行う研究補助者を採用して、効率的に作業を進める。また、執筆した英文ワーキングペーパーを学会・研究セミナー等で報告し、コメントを収集して、レフェリー付きの学術誌への投稿準備を進める。
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