研究課題/領域番号 |
20H01674
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
宮城 信 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (20534134)
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研究分担者 |
小川 亮 富山大学, 教育学部, 名誉教授 (00194465)
今田 水穂 筑波大学, 人文社会系, 助教 (10579056)
松崎 史周 国士舘大学, 文学部, 准教授 (20634380)
砂川 有里子 筑波大学, 人文社会系(名誉教授), 名誉教授 (40179289)
清水 由貴子 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (60735851)
加藤 恵梨 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70770311)
田中 弥生 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, プロジェクト非常勤研究員 (90462811)
阿部 藤子 東京家政大学, 家政学部, 教授 (90796161)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 児童作文 / 作文コーパス / 計量言語学 / 作文の誤用分析 / 作文の文体分析 / 作文の評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、大規模作文コーパスを共有の資料として、作文の構造の分析や評価を行い、小学校児童の各発達段階での文章作成能力の解明を中心とした総合的教育研究である。まず基礎となる資料については、使用版として共有した「清流環境作文コーパス」のテキストデータの一部を外部業者に依頼して、人手修正を行い、コアデータを作成した。児童作文は予想外の誤字脱字などの誤用を含む可能性があるので、コアデータの存在は研究の真性性を保つ上で重要な意味がある。 まず、1件め、国語教育作文支援班と日本語教育対照研究班が連携して進めている誤用分析の研究にも大きな進展があった。本データは、「J-CONi」(児童生徒ちょっとおかしな日本語)と命名され、一部アノテーション作業を終えたデータを基に公開用の検索システムの模索を始めることができた。これには外部協力者の八木豊氏(ピコラボ)が参画している。本研究終了時までに使用版として公開を目指している。作文に関する日本語学習者の抱える問題点、即ちどのような誤用を誘発しやすく、困難を抱えているのかの分析に大きく寄与することが期待される。 もう1件は、RFA(修辞機能分析)を活用した児童作文の指導法の開発である。RFAは元々母子会話の分析手法であるのでこれを児童作文の分析用に最適化を進め、分析用マニュアルの作成も進められている(田中)。それを受けて、作文分析用の基準によって、コンクールでの評価(入賞作文)と脱文脈化指標との対応関係についての検討も進められている。この研究が進めば作文評価の可視化も一歩前進すると考えられる。加えて、RFAの評価付き作文データの構築も並行して進められている。以上の研究成果に関して、複数の学会発表がなされ、査読つき論文として採択されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の延期があったが、各共同研究者の尽力によりそれぞれ研究成果を積み上げることができている。昨年度までに研究の基礎となる児童作文コーパスが共有できているので、今年度は各班、個人が研究成果を積み重ねる段階にきている。 一方で個人研究においてもコロナ禍による影響は少なくなく、小さな点から見れば問題が生じている(研究代表者には逐次報告がある)。また、「夢作文コーパス2019」については、テキスト化作業が完了し、データの整理が進められている段階である(今田が担当)。こちらの方は謝金業務の遅れに連動した外部業者の作業にやや遅れが見られるが、順次解消していくものと考えられる。2023の早い段階で共有がなされる予定である。 以上、2022年度の研究計画から新たに発展した研究や、一部遅延が見られるが研究が混在した状況にあり、進捗状況の管理が必要である。全体としては、h22年の研究はほぼ順調に進行していると見てよい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、国語教育支援班と日本語教育対照研究班が連携して誤用分析の研究を精力的に進めている。この研究成果の一部は、日本語習熟論学会のプロジェクト研究(現在応募中:研究代表者:砂川有里子)と連携して進められる予定である。 加えて、新たな研究内プロジェクトが立ち上げられている。 作文評価研究班が中心となっているRFAを用いた作文書き換え研究と、国語教育支援班と日本語教育対照研究班が中心となっているj-coniプロジェクトの2本が研究の柱となる。2023年度は両班の支援に注力して研究を進めていく予定である。また、まだ研究実践を数回積み重ねただけであるが、本研究のこれまでの成果を活かして、小中の現場の教員と共同して作文の研究授業を進めている。これは国語教育支援班と作文評価研究班が中心となってあたる予定である。以上のように、本研究では領域横断型研究を積極的に進めることを推進ており、現在複数プロジェクトが並走して順調に研究成果を積み上げている。
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