研究課題/領域番号 |
20H01696
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩章 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (10346695)
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研究分担者 |
家島 明彦 大阪大学, キャリアセンター, 准教授 (00548357)
岡田 有司 東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (10584071)
村上 正行 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (30351258)
長沼 祥太郎 九州大学, 教育改革推進本部, 講師 (40826096)
根岸 千悠 大阪大学, 全学教育推進機構, 特任助教(常勤) (60726610)
大山 牧子 大阪大学, 全学教育推進機構, 助教 (70748730)
浦田 悠 大阪大学, 全学教育推進機構, 特任講師(常勤) (90553834)
渡邉 文枝 早稲田大学, データ科学センター, 講師 (50749075)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プレFD / 大学院生の能力開発 / 教材開発 / TA / オンライン教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,大学設置基準において,博士後期課程のプレFD実施又は情報提供が努力義務化されたことを背景として,教学マネジメントの基盤となる大学院生向けプレFDモデルを構築することである.その目的を達成するために,必要となる要素と手法を明らかにすることを目指して,下記の3点について研究を行うことを予定していた. 1) 国内,海外の現状を把握するためのプレ FD に関する文献・質問紙・訪問調査の実施 2)大学院生の教育能力を育成するためのプレ FDプログラムの開発 2-1)プレ FDプログラム に関するカリキュラム設計,授業案,教材の開発, 2-2)実践結果に基づいたカリキュラム・教材の評価 3)大学院生向けプレFDモデルの構築 ところが,2020年度は新型コロナウィルスの影響を強く受け,研究計画を大幅に修正せざるを得なかった.その第一の理由は,共同研究者の多くが大学教育開発センター等に所属しており,自大学でオンライン授業のためのFDを担当することになったことである.第二の理由は,移動制限により国内ならびに諸外国への訪問調査ができなかったことである.第三の理由は,国内大学におけるプレFDも従来とは実施形態を変更せざるを得ず,また担当者もコロナ対応に追われており調査依頼ができなかったことである.その一方で思わぬ進展もあった.1)については,文献調査を各自が着実に進めることができた.また, 2-1)については,オンラインでのFDならびにプレFDを実施せざるを得なかったため,多くのオンライン教材が開発された.そのため,国内で共有できるプレFD教材については蓄積がなされた.また,すでに述べたように各自が所属大学でオンライン授業に関わるFDを担当することにより,オンラインでの能力開発に関する知見と実践が蓄積された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.プレFD に関する国内,海外の現状を把握するための文献・質問紙・訪問調査の実施 (1)文献調査:国内外の高等教育関連の論文誌や書籍を対象として,プレFDに関する文献のレビューを行なった.国内のプレFDや新任教員向けのFDの状況や特徴を把握,分析した. (2)国内における質問紙調査・訪問調査:日本におけるプレFDの現状を把握するために,大学院博士課程を有する大学を対象として,プレFDの実施状況や計画について質問紙調査を行う予定であったが,コロナ禍の影響で実施できなかった. 2.大学院生プレFDプログラムの開発・実践・評価 (1)プレFDプログラムのカリキュラム設計,授業案,教材の開発:コロナ禍で,各大学では従来対面で実施されてきたプレFDをオンラインで実施せざるを得なかったが,そのため多くのオンライン教材を開発できた.大阪大学では,授業設計,教育方法,学習評価を学べる体系的なオンデマンド教材を開発すると同時に,その公開を目指して,他大学でも使用できるβ版を開発した.また,すでに刊行済みの書籍「シリーズ大学の教授法」(玉川大学出版部)と連携し,書籍内容を要約したパワーポイント教材も開発した.また,九州大学ではオンラインでプレFDプログラムを開始した.それ以外の研究者が所属する大学においても,各自がオンライン教育についての知見と技術を蓄積することができた. (2)実践結果におけるカリキュラム・教材の評価:大阪大学が開発した体系的なオンデマンド教材β版については,関西地区の1大学において試行してもらい,フィードバックの機会を得た.また,大阪大学ならびに九州大学のプレFDについては,受講者を対象に効果検証を行なっているところである.
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今後の研究の推進方策 |
1.プレFD に関する国内,海外の現状を把握するための文献・質問紙・訪問調査の実施 (1)文献調査:昨年度に引き続き国内外の高等教育関連の論文誌や書籍を対象として,プレFDに関する文献のレビューを行う.日本やアメリカ,イギリスなどのプレFDや新任教員向けのFDの状況や特徴を把握,分析するとともに,Researcher Development Framework (RDF)やトランスファラブルスキルなど,大学院教育における研究者育成や能力開発に関する研究の動向についても調査,分析を行う. (2)国内における質問紙調査・訪問調査:コロナ禍の影響で昨年度実施できなかった,日本におけるプレFDの現状を把握するために,大学院博士課程を有する大学を対象として,プレFDの実施状況や計画について質問紙調査を行う.分析を行った上でプレFDの実践を積み重ねている大学や,今後の実施を計画している大学を選定してオンライン調査を行い,特徴や問題点について洗い出しを行う. 2.大学院生プレFDプログラムの開発・実践・評価 (1)プレFDプログラムのカリキュラム設計,授業案,教材の開発:昨年度開発した教材を複数のパイロット校において使用してもらい、その状況についてヒアリングを行う。 (2)実践結果におけるカリキュラム・教材の評価:調査研究を通じて整理されたプレFDに関する知見やこれまでの実践に基づいて,大学教員に求められる能力を育成するためのプレFDプログラムの授業案及び教材を設計する.そして,研究代表者らが所属する各大学のプレFDにおいて,教材や授業案を活用して開発したカリキュラムに基づいて試行する.プログラム及び教材の評価として,録音・録画した受講生の反応や発言内容,ワークシート等への記述内容に関する質的な分析,プレ・ポストで実施する質問紙調査の定量的な分析,受講生へのインタビュー調査を行う.
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