研究分担者 |
白井 明美 国際医療福祉大学, 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部, 教授 (00425696)
竹林 由武 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00747537)
伊藤 正哉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 部長 (20510382)
須賀 楓介 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, こころのケアセンター, 主任研究員 (20527593)
小西 聖子 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (30251557)
吉池 卓也 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 室長 (40647624)
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研究実績の概要 |
遷延性悲嘆障害(prolonged grief disorder, PGD)は、強い悲嘆が長期に持続する精神障害である。欧米では認知行動療法の有効性が報告されているが、日本ではPGDに対する病態や治療の研究は極めて乏しい。この現状を踏まえ、PGD症状に苦しむ遺族が利用しやすい多層的な治療法の開発とPGDのバイオマーカーの同定を目的としてR4年度では以下の4つの研究を実施した。 研究1「日本版複雑性悲嘆治療(J-CGT)の有効性・安全性に関する多施設共同研究」:成人のPGD患者(20例)を対象に、単群の前後比較試験でJ-CGT効果を以下の4機関で(武蔵野大学、国立精神・神経医療研究センター、国際医療福祉大学、兵庫県こころのケアセンター)実施した。R4年度では22 例が登録し、15例が治療プログラムを完遂した。脱落者は7例(脱落率31.9%)であった。重篤な有害事象は見られなかった。 治療完遂者において、治療前に比べ治療後に有意な遷延性悲嘆症状および抑うつ症状の改善がみられ、J-CGTが遷延性悲嘆症に対する有効な治療法であることが示唆された。 研究2「PGDを有する遺族に対する集団認知行動療法(ENERGY)の有効性に関するRCT」:予備施行を実施し重篤な有害事象は発生しておらず安全に実施できることが確認されたが、新型コロナウイルス感染症のため、登録を中断している。 研究3「PGDのウェブの開発と有効性に関する研究」: 令和4年度は「がん遺族の複雑性悲嘆に対するウェブベース心理教育プログラム」について、ウェブサイトにワークを取り入れたコンテンツを整備し、スマートフォンにも対応可能とするためレスポンシブ化を行った。 究4「PGDの生物学的基盤の解明に関する研究」:R4年度までに19名の参加者が登録し,順調に進捗している。遷延性悲嘆患者における共感性の低下についての研究成果について国内外の学会にて発表を行い、Science Report(2023)に論文が掲載された。
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