本研究では,系列的にサンプリングされた情報に基づく知覚的意思決定のメカニズムを理解するため,刺激への反応時刻にロックした逆相関解析により観察者がいつ・どこの・どのような情報を利用して意思決定をしたかを分析した.ノイジーな時間変動をする視覚刺激に関する方位弁別やコントラスト検出を対象とした一連の心理物理学実験を実施し同分析を適用した結果,観察者の意思決定を決定づける情報は行動反応の約400ミリ秒前を頂点とする組織的な変動を示し,また空間的注意により増幅されることがわかった.これらの結果に基づき,低次視覚系の時間応答関数と感覚エビデンスの累積に基づく知覚的意思決定の計算モデルを提案した.
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