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2022 年度 実績報告書

暗黒物質から探る標準模型を超えた新物理

研究課題

研究課題/領域番号 20H01898
研究機関新潟大学

研究代表者

淺賀 岳彦  新潟大学, 自然科学系, 教授 (70419993)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード暗黒物質 / ニュートリノ
研究実績の概要

本研究では、宇宙暗黒物質の候補としてニュートリノ質量起源を説明する新粒子である質量が数10keVの右巻きニュートリノを想定し、この粒子の実験検証について探究している。この暗黒物質に対しては、崩壊から生じるX線を宇宙観測による探索、宇宙の比較的小規模構造を探るLy-alpha観測、また天の川銀河を取り巻く衛星銀河の観測等から厳しい制限を受けている。現在、30から40keVの質量を持ち、混合角が10のマイナス14乗と非常に小さい右巻きニュートリノが許されている状況である。 このような背景のもと、対象となる暗黒物質を地上実験でいかに検証するか検討を進めた。具体的には、右巻きニュートリノと原子核に束縛された電子が衝突し、電子が得る反跳エネルギーをシグナルとした直接検出法に着目した。自由電子と異なり、原子内の電子は束縛の効果により右巻きニュートリノとの反応率が 変化する。そこで、通常の電子型左巻きニュートリノを対象として、Roothaan-Hartree-Fock近似を用いた原子内の電子分布を用いて、散乱断面積が核種によってどのように変化するかを把握した。これらの結果を用いて、天の川銀河内に分布する右巻きニュートリノ暗黒物質の検証可能性を検討した。暗黒物質は天の川銀河内でランダムに運動し、Maxwll速度分布に従っているとして評価を進めた。通常の左巻きニュートリノと異なり、右巻きニュートリノは無視できない質量を持つため、反応の運動学が異なることに注意して解析を進めた。特に、暗黒物質起源の電子の反跳エネルギーのスペクトル、およびそのシグナル強度に対して数値解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

数値解析の専門的知識を有する研究協力者を専任の特任助教として雇用し研究を進める予定であったが、
当該研究者が急遽別機関に就職することが判明し、暗黒物質の残存量の数値的評価の研究に遅れが生じている。
この研究者はこれまでに暗黒物質の生成過程の理論研究、特にボルツマン方程式に基づく評価法だけでなく、量子効果も取り入れることが可能なKadanoff-Baym 方程式に基づく評価方法についても精通しており、さらにこれらの方程式を数値的に解く能力を持つ研究者であり、本課題の遂行には必要不可欠な研究者であった。また、当該研究者は、暗黒物質探索実験についての知識も豊富であり、彼の知見、解析能力の協力を得て、暗黒物質の探索法の探究を進めることを予定していた。この研究者が急遽就職により別機関に所属することになり、専任で本解析に取り組む協力者が不在となった。急な離脱であったため、本解析を進める新規の研究者を探すことに困難な状況となってしまった。そのため、研究の進捗状況に遅れが生じる状況となった。

今後の研究の推進方策

初期宇宙における暗黒物質の残存量の数値解析を担う研究協力者が、別機関への就職により専任の特任助教を辞めたことにより、プロジェクトの人員および遂行計画を再検討する必要が生じた。特に、この数値解析は暗黒物質の地上実験探索法の探究に欠かすことができないものである。そこで、新規の研究協力者を探し、専任の特任助教として雇用し、遅延なく研究を遂行するように研究体制の再構築を行う。本課題のテーマである暗黒物質の物理に精通し、特にその探索法の研究に実績のある研究者を想定しており、国内外に何名かの候補がいるが、本プロジェクトの期間が限られていることもあり、専任として着任してくれるかについて、問題となっている。しかし、研究代表者の持つネットワークを活用し、当該分野の若手研究者に広く発信することで、ふさわしい候補者を探しだし、課題を遂行する予定である。
また、数値解析の時間が短縮されることに伴い、解析能力の向上を図るために、新規の大型計算機を導入して期間内に計算を終了させるように計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Neutrinoless double beta decays tell nature of right-handed neutrinos2023

    • 著者名/発表者名
      Takehiko Asaka, Hiroyuki Ishida, Kazuki Tanaka
    • 雑誌名

      Journal of High Energy Physics

      巻: 2023 ページ: 62 (11pages)

    • DOI

      10.1007/JHEP07(2023)062

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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