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2020 年度 実績報告書

TypeIII拡張系3成分水素混合流体の精密熱物性計測と最新状態式の熱力学解析

研究課題

研究課題/領域番号 20H02091
研究機関九州大学

研究代表者

迫田 直也  九州大学, 工学研究院, 准教授 (30532337)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード水素 / 混合流体 / 熱物性 / 精密計測
研究実績の概要

水素を含む混合系の熱物性測定において,試料の作成および組成の決定は非常に難しい.通常,混合系の組成はガスクロマトグラフを用いて測定されることが多いが,その不確かさは数%と見積もられる.本研究で計測するPVTx性質(圧力-比体積-温度-組成の関係)では,密度の測定不確かさ0.1-0.2 %を目標としており,同程度の組成測定における不確かを達成するため,試料を充填した圧力容器の質量を直接精密電子天秤で測定し,組成と充填質量を決定する方法を採用した.圧力容器を圧力センサと接続して恒温槽内に設置し,温度を変え,圧力を測定することで,等密度線に沿ったPVT性質を得ることができる.また,組成の測定不確かさをより小さくするため,最大秤量2000 g,分解能0.1 mgの精密電子天秤を導入した.本装置では,気液平衡セルを接続させ,膨張容器として用いることで,同一組成において異なる密度でPVT性質を測定することができる.気液平衡セル内に充填されている試料が気液の共存状態にあるとき,気相側と液相側の試料をそれぞれ少量採取し,ガスクロマトグラフを用いて組成を測定することで,気液平衡データを得ることができるが,ガスクロマトグラフにおける精度の問題および,セル内の試料の攪拌が正確な測定において大きな役割を果たすことが明らかになった.高圧対応の気液循環ポンプが必要となり,装置全体が非常に大がかりとなる.そこで,本セルは窓ガラスが取り付けられており,内部が確認できることから,温度上昇による気液メニスカスの挙動を観察し,メニスカスの消滅から飽和点を決定する方法を採用した.二酸化炭素純物質において測定した飽和温度は既存の状態方程式と0.1 %以内で一致し,装置の健全性を確認した.一方で,振動細線法を用いた粘性係数測定装置については,計測システムを確立した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

混合流体におけるPVTx性質測定において,分解能0.1 mgの精密天秤を新たに導入するなど精度の向上が図られ,また飽和密度の測定も可能となった.さらに振動細線法を用いた計測システムを確立し,各種熱物性計測の基本となる重要な部分の装置開発が概ね順調に進展いている.

今後の研究の推進方策

水素を含む混合流体に対し,PVTx性質ならびに飽和密度において,データ取得を進める.また,振動細線法を用いた粘性係数測定装置を開発する.臨界点近傍でも可視化可能な装置の仕様について検討を行う.さらに,混合系における状態方程式の熱力学的な解析を行う.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 水素を含む2成分系混合流体の熱力学性質とPVTx性質測定2021

    • 著者名/発表者名
      迫田直也, 戸島健太郎, 緑川優太郎, 河野正道
    • 学会等名
      第58回日本伝熱シンポジウム
  • [学会発表] 非凝縮性気体を含む2成分系混合流体における粘性係数測定装置の開発2021

    • 著者名/発表者名
      緑川優太郎, 岡本剛明, 河野正道, 迫田直也
    • 学会等名
      熱工学コンファレンス2021

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公開日: 2022-12-28  

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