本研究では、酸化物熱電材料の熱伝導率の低減を目的とし、ペロブスカイト型酸化物CaMnO3とSrTiO3のCa2+およびSr2+サイトを価数の異なる2種類のカチオンからなる「複合カチオン」で置換する手法を採用した。CaMnO3系についてはCa2+の10%をGd3+とNa+からなる複合カチオンで置換することで熱伝導率が大きく低減するとともに高いパワファクターが得られ、無次元性能指数ZTが大きく向上した。SrTiO3のSr2+の全てをLa3+とNa+からなる複合カチオンで置換した化合物については、グレインサイズを増大させることで高い電気伝導率と低い熱伝導率の両立が可能であることがわかった。
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