研究課題/領域番号 |
20H02460
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
宮野 泰征 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (60466589)
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研究分担者 |
尾花 望 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00722688)
宮永 一彦 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40323810)
若井 暁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 副主任研究員 (50545225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 微生物腐食 / ステンレス鋼 / 溶接部 / バイオフィルム / 次世代シーケンス / 定量PCR / 電位 / 腐食形態 |
研究実績の概要 |
ステンレス鋼の合金組成、溶接金属組織などの金属学的因子をパラメータに設定し、腐食を誘導する生物要因を、可視化、遺伝子解析、腐食解析で明らかにする研究に着手した。金属学的因子としては、微生物腐食事例が豊富なオーステナイト系ステンレス鋼の溶接部の他に、クロムなどの合金濃度を検討対象とした。熱処理、溶接による組織制御を実施し、析出/鋭敏化(MnSやCr23C6など)、α/γ分率、結晶粒径、酸化スケールなどを金属学的因子パラメータに有する試料を作製した。Cr, Ni, Mn, S, P, Cuなどの元素については、微生物付着/電位貴化の誘導/忌避性との相関が指摘されている点に注力し、評価のための鋼種、金属、溶接剤を適宜準備/活用を図った。上記検討事項を反映したフィールド試験を展開し、微生物腐食を誘導する微生物要因の解析を以下のように行った。 <可視化>コロニーの形成位置、分布、形状と金属学的因子との相関(主に付着量)を調査した。腐食の発生位置/形態について系統的に調査を行った。 <遺伝子解析>試料表面から、拭き取りまたは超音波洗浄により解析の対象とする微生物群を回収し、個体数は定量PCR、種の同定は次世代シーケンス(メタゲノム解析)を活用し、培養操作を介せずに、迅速に解析する手法を確立した。腐食に関与する微生物機能/作用物質についてもトランスクリプトーム解析により調査を開始した。 <腐食解析> 試験中の自然電位変動を自動計測装置により評価した。バイオフィルムのICP分析、腐食生成物、表面のX線/蛍光エックス線による評価を行った。FE-SEM/EDXによる腐食形態/組織の解析、レーザー顕微鏡による腐食損傷の定量を実施した。 <連成解析>電位/腐食と微生物叢構成/微生物機能の相関を検討した。バイオフィルム、腐食生成物と微生物機能評価により推定される作用物質との関連性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの感染拡大により、フィールド実験を実施するための移動や施設入構が当初予定のように実施できず、計画の再調整、予定変更を繰り返す状況が続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナの感染拡大により研究進捗が滞っていたフィールド試験の方も一通りの終了の目途が付き、研究成果を纏める目途が見えてきた。 フィールド試験の知見を基にしたラボ試験への移行についても着手の段取りがつき、研究の進捗を見定められる展望が開けてきた。
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