細胞が環境温度に対して,熱伝導率と比熱を変化させ,周囲の熱的な状況に都度適応していることが明らかになった.特に活性温度である37℃時の熱伝導率は加熱周期にも影響を受けたことから,何かしらの生理現象が誘発され,さらに,加熱周期によって誘発される現象が異なっていることが推測される.また,環境温度25℃時では水の熱物性値と同程度の値となり,これは的には水と大差ないことを意味する.化学固定によって細胞を熱的に不活性な状態にすると,熱伝導率が水と同程度になることは既に報告されており,本研究の成果では環境温度を下げるだけで熱的に不活性な状態を得ることができる可能性が示唆された.
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