研究課題/領域番号 |
20H02597
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
金 賢徹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70514107)
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研究分担者 |
加藤 大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80533190)
小島 直 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30356985)
山村 昌平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50432141)
中村 史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員教授 (40357661)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 微粒子 / 電気化学発光 / マーカー分子検出 / 電極 / がん |
研究実績の概要 |
本研究では具体的に(1)電気化学発光(ECL)計測による標的細胞表面マーカー分子検出技術の改良、(2)血中循環がん細胞検出をモデルケースとした標的細胞の検出実証の2つの課題を設定している。具体的な計測手順は、以下のとおりである。標的マーカー分子を発現している細胞に対して、ルテニウム錯体などECLプローブを修飾した抗体を作用させた後、細胞と同直径程度のカップ形状微小電極に捕捉し、溶媒中にトリプロピルアミンなどのECL共反応物を添加し電圧を印加する。細胞表面にECLプローブ修飾抗体が結合している場合、ECLプローブが電極近傍に存在することからECLが生じるため、発光によりマーカー分子発現細胞を特定できる。第2年度の成果は以下のとおりである。 課題(1)では、標的マーカー分子をECLにより検出する場合、マーカー分子と選択的に結合する抗体に対してECLプローブを修飾する必要があるが、修飾量が多すぎるとマーカー分子に対する結合能が低下し、少なすぎるとECL輝度が微弱となる。この問題を解決するために、抗体へのECLプローブ修飾条件を検討した。抗体に対するECLプローブ分子の混合比、また混合後の精製方法について様々な条件を検討した結果、最適と考えられる混合比および精製手順を見出すことができた。また課題(2)では、細胞表面マーカー分子を課題(1)で作製した抗体で標識し、カップ形状微小電極に捕捉してECL計測を行う際、電極と細胞間に存在するECL共反応物が枯渇する問題があった。これを解決するために、細胞前処理法について検討を行った。有機溶媒や界面活性剤による細胞処理法について、様々な条件で検討した結果、従来に比べてECL輝度を向上させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究第2年度は、細胞表面マーカー分子をECL計測により検出する際、シグナルを向上させるための改良に成功した。引き続きCOVID-19の影響により、実験推進が例年同様に実施できない時期もあったが、オンライン会議などを活用し議論を行うなど、可能な範囲で影響を最小限に抑えたことで、全体的には概ね順調に研究が進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究第2年度はECL計測時のシグナル強度向上など計測条件の改良を行った。第3年度は引き続き計測感度の向上、再現性の向上のための改良を行うと共に、将来的な技術の橋渡しを見据えて、大量の細胞を処理し安定的かつ迅速に計測するためのチップデザインや計測法の改良などを推進する。
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